LaTeX と typst の比較

高校数学資料(授業プリント)をコンピュータで作るにあたっては,数式や図表を扱えるソフトウェアを使わねばならない。 オープンソースソフトウェアの中では,とくに LaTeXtypst が知られている(ほかにも SATySFi が知られるが,高校教員が実地で使うにはまだ情報が少なかろう)。 ここでは,組版ソフトウェアについての知識を前提とし,主に高校数学資料を作る観点から,LaTeX と typst それぞれの特徴を考える。

先に結論を挙げておくと,私は LaTeX を使うことに決めた。(この追記は 2025-11-16 のものであり,まだ詳しい理由は書き加えられていないので,以下の文を読むにあたっては気をつけられたし。)

横書き文書の句読点

高等学校の数学科教育における横書き文書の句読点については,さまざまなものが入り混じっている。教員ごとの違いはもちろん,教科書会社によってさえ異なるものがある。これらについて考えたい。また,感性の度合いが大きくなるものの,併せてその他の横書き文書についても思い見る。

先に,日本語は句読点に寛容であり書き手が思うように使えばよいことを申し添えておく。この記事は,私がどのような句読点を選んだかの記録に過ぎない。

TeXworks から VSCode へ

TeX Live によって LaTeX を導入すると,標準のエディタとして TeXworks がついてくる。私は長らく TeXworks で不満なく教材を書いてきたが,VSCode の入力支援やダークモードは評判がよいため,乗り換えてみることにした。

ここでは,高等学校数学科教員としての立場から,講義資料(授業プリント)を念頭におき,VSCode による LaTeX 執筆環境をどう整えたかをまとめる。

日本の教育における数学的表現

英語圏において標準的な数学的記法と,日本の教科書において標準的な数学的記法には,いくつかの違いがある。 これによって,LaTeX をはじめとする組版ソフトによって高等学校・中学校向けの数学に関する教材を書くときには,気を配らねばならない。 それらの違いについて,簡単にまとめる。

There are some differences between the standard mathematical notation in English and in Japanese high school. This means that we have to be careful when writing educational materials on mathematics for junior/senior high schools using typesetting software such as LaTeX. These differences are briefly summarised below.

記事の利用

「高校数学調律研究室」の記事を使用していただくにあたってお気をつけいただきたい点を述べます。