生徒への資料配付と QR コードの生成

目次

生徒へ資料(授業プリント)を配るにあたって、かつては紙に刷るほかなかった。 しかし、近年ではGIGAスクール構想による1人1台端末整備により、データで配ることもできるようになった。 ここでは、高等学校数学科教員の立場から、どのような配りかたが生徒にとってよいかを考える。

背景

生徒へ資料を配付するときには、おおむね以下のような方法をとることになる。

  • 紙で配付する。
  • Google Classroom のようなシステムを用いて配付する。
  • 自前のウェブサイトで配付する。

一昔前までは、紙に刷って配るほかはなかった。しかし、近年ではGIGAスクール構想による1人1台端末整備により、データで配ることもできるようになった。

どの方法がよいかについて、教員それぞれ・生徒それぞれでも意見は大きく違うようである。

解決

生徒への資料配付

私は、補足でまとめたメリット・デメリットを勘案したうえで次のようにしている。

  • 授業として欠かせない資料は紙に刷ってて配る。理由は次のとおりである。
    • その場で直ちに読んでもらいたい。
    • 自らの気づきを書き込んでもらいたい。
    • ノートと一体で保管してもらいたい。
  • 本題とは異なる興味のための資料・発展的資料は自前のウェブサイトに載せる。理由は次のとおりである。
    • 話を聞いてより知りたいと思った生徒に届けばよい。
    • 整理整頓が不得手な生徒にとって、資料が増えすぎない。
    • ウェブサイトを維持すれば、生徒がデータを管理しなくともよい。

はじめのころは、生徒が(私物を除いて)端末を持っていなかったこともあり、すべての資料を紙に刷っていた。しかし、ちょっとした発展的内容のために数枚を配ることになるなど、非効率なところも多かった。

GIGAスクール構想により、曲がりなりにもすべての生徒に端末とウェブ環境が(少なくとも校内で)与えられた。これにより、自前のウェブサイトを使う方法に踏み切ることができた。 実態としてはほぼ全員が端末を持っていたとしても、私物でしか対応できないことを行うにはやはり抵抗がある。

この方針でしばらく過ごしたのち、やはりその場で手に取れる・目に入るほうが教育的効果が高いのではないかと感じ、しばらくの間すべてを刷ってみたことがある。しかし、実際は授業のたびに数枚から10枚程度の紙を配り、配付と生徒による整頓だけで10分弱を失ってしまうことになった。しかも、それらの紙のうち授業で触れるのはほんの一部であり、指示したところを探すのも紙が多く苦労していた。書類を片付けることが苦手な生徒は多いのだと考えておくほうがよい。その意味でも、興味を持った生徒たちに追加の行動をしてもらうほうが理に適っているだろう。

QR コードの生成

生徒を自前のウェブサイトに導くには、QR コードを示すのが速い。QR コードを作るには、次のような手がある。

  • 画像として作る
    • QR のススメ
    • アドレスを指定しておき、ボックスに入力すれば直ちに生成される。手軽に編集するのであれば PNG 形式、拡大縮小を見込んで埋め込むのであれば EPS 形式がよい。
    • QR コード作成請負などを行っている実態のある会社(株式会社インフォリオ)が運営しているようである。
  • LaTeX ソースにそのまま埋め込む

QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標である。

補足

紙で配付する

メリット

  • 作業をせずに目に入り、注意を引くことができる。
  • 書き込みが容易である。
  • ノートなどと一体で保管ができる。

デメリット

  • 配付のために授業時間が取られる。
  • 印刷のために時間と経費がかかり、保管場所が必要となる。
  • 欠席・出席停止が続いた場合、長期にわたって資料が届かない。
  • 管理が苦手な生徒にとっては散逸しやすい。

Google Classroom のようなシステムを用いて配付する

メリット

  • 外部に見られることなく、受講生徒に対してのみ配付ができる。
  • 資料を準備した際に通知することができる。
  • すでに生徒に案内された枠組みであり、新たな技術習得を必要としない。
  • 欠席・出席停止が続いた場合も自宅で閲覧できる。
  • 保管に場所を取らない。

デメリット

  • サービスを提供している企業への依存が強い。
  • 設置者の設定によっては自由度が低くなる。たとえば、講座ごとではなく科目ごとに設置されている場合、自分のみの資料を気軽に置くことはできない。また、ファイル形式も制限されうる。
  • アップロード・ダウンロードにあたってアカウントへのログインが必要である。
  • ノートと一体に保管するためには自身で印刷せねばならない。
  • 著作権法上の例外措置の範囲外になると考えられる。

自前のウェブサイトで配付する

メリット

  • 配付にあたっての自由度が高い。
  • 欠席・出席停止が続いた場合も自宅で閲覧できる。

デメリット

  • 外部に見られないようにするには、.htaccess などによるアクセス制限が必要である。
  • 自前のウェブサイトを設置する費用や労力は持ち出しである。
  • ノートと一体に保管するためには自身で印刷せねばならない。
  • 著作権法上の例外措置の範囲外になると考えられる。

参考

改訂

  • 追記: 2022-07-26
    • QRcode パッケージについてを加えた。