LaTeX 導入・学習へのリンク集

目次

私は高校数学の教材(授業プリント)を LaTeX によって作っており、高校数学の教育環境をよりよくするために、LaTeX を広めたいと考えている。 ここでは、高等学校数学科教員の立場から、LaTeX を用いて文書が作成できるようになるまでの導入方法と、LaTeX を用いた教材作成をより豊かにする記事へのリンクを紹介する。

LaTeX を使うには、コンピュータ上にインストールするか、またはクラウド上のサービスに頼らねばならない。教材作成環境(すなわち職場環境)がそれを許すかどうかについては確かめてもらいたい。

背景

数学の教材を作るにあたっては、数式をそれなりの見映えで出力せねばならない。 数学の教材を作るソフトウェアはいくつも知られているが、私は LaTeX (LuaLaTeX) を用いている。

そもそも LaTeX (LuaLaTeX) を使うことのよさが何かについては次で述べた。

すでに LaTeX を使っているところ、さらに楽に教材を作る工夫については次で述べた。ただし、この記事の一部は学校の教員である(著作権の学校における例外措置を使える)ことを前提にしていることに注意されたい。

なお、TeX が組版システム本体の名で、LaTeX は TeX をより使いやすくするための文書処理システム(フォーマットと呼ぶ)の名である。とくに意図しない限り、現在の「TeX で文章を書く」とは「LaTeX で文章を書く」ことを意味する。

LaTeX のエンジン(ソフトウェア)にはいくつかの種類があるが、私は LuaLaTeX を用いており、これを勧めたい。 LuaLaTeX を使うべき理由は次で述べた。

解決

LaTeX を使う方法には、大きく次の2つがある。

  • コンピュータ上にインストールして使う。
  • クラウド上で使う。

インストールには数時間かかるので、まずはクラウド上で使ってみて、気に入ればインストールするのもよいだろう。

試しに触る・クラウド上で使う

次のサービスが有名である。

Cloud LaTeX サービスの雰囲気を知るには、次の記事を勧める。

コンピュータにインストールする

インストールするのであれば、次の記事を勧める。

コンピュータにインストールして使うのであれば、TeXWorks というソフトウェアの評価が高い(TeX Live を導けば自然とインストールされる)。 しかし、TeXworks に既定で使われるフォントは、残念ながらあまり執筆に向かない。半角文字と全角文字の比率が 1:2 であり、似た文字(0ゼロとOオーなど)が区別しやすいように工夫されたフォントを使うと執筆は楽になる。

TeXWorks に上で示したフォントを導入するには、次の節を参照されたい(TeXWorks にフォントを導入しないのであれば、次の節は無視してもらいたい)。

また、少し敷居は上がるが、Visual Studio Code というソフトウェアを導入すると、さらに執筆は楽になる。これについては次の記事にまとめた。難しいと思えば、はじめは TeXworks で差しつかえないだろう。

TeXWorks のフォントを読みやすく変える

RickyDiminished-Regular-fixed フォントは無料である。

  1. RickyDiminished-Regular-fixed をインストールする。
    1. RickyDiminished-Regular-fixed にアクセスする。
    2. 右上の[…]から[Download]をクリックする。
    3. [スタートボタン]/[設定]/[フォント]とクリックする。
    4. [ドラッグアンドドロップしてインストールします]と書かれているところに、ダウンロードされた RictyDiminished-Regular-fixed.ttf ファイルをドラッグアンドドロップする。
  2. TeXworks に読み込ませる。
    1. フォントのインストールが済んでから、TeXworks を起動する。
    2. [編集]/[設定]/[エディタ]とクリックする。
    3. [エディタのデフォルト]のすぐ下にあるプルダウンメニュー(今は MS UI Gothic などと書いてあると思われる)から[RictyDiminished-Regular-fixed]を探し、クリックする。
    4. フォントサイズも好みに応じて変える。
    • [行番号表示]と[行の折り返し]のチェックはともに入れておくことを勧める。
  3. TeXworks を終了して開きなおすと、設定が変更されている。

この節は、2022-07-24「TeXworks のフォントを読みやすく変える方法」という記事を取り込んだものである。当該記事の URL からはリダイレクトしている。

作業場所を作る

LaTeX は、ソースコードから PDF を作るときにいくつかのファイルを生成する。 また、貼り付ける画像ファイルなども管理せねばならない。 深く考えずに .tex ファイルを作ると散らかってしまう。 作業場所を決めておくことが欠かせない。

私は次のようにしている。

  • LaTeX の作業用フォルダを作り(私は C:\Data\TeX_Workspace )、その中に1回の授業について1つのフォルダを作る。たとえば、数学Aの第11回目の授業だとすれば、YYYYMMDD_Math_A_(TITLE) などというフォルダを作り、その回で使うものはすべてこの中に入れる。
  • 資料ができあがったら、フォルダごと、教材保存フォルダ(私は C:\Data\Repository)のしかるべき箇所へ移動する。その期間の教材を一元管理する代わりに、LaTeX のデータを独立して管理したいのなら、 TeX_Workspace フォルダの下に Logs フォルダなどを作ってもよい。

補足

ここからは、LaTeX を使おうと思ってもらえたひとへ向けて、次のようなものを列挙する。

  • LaTeX を用いて文書が作成できるようになるまでの導入方法を書いた記事
  • LaTeX を用いた教材作成をより豊かにする記事

書籍での学習

LaTeX を使い続けるのなら、本を1冊は手元に置いておくことを勧める。 LaTeX が何をしているのかがわかり、トラブルが減り、対処ができるようになる。 また、新たな知見を自分で取り入れる力もつく。

困ったときにウェブ上をの記事をつまみ食いするだけでは体系的な理解に至らない。 さらに、自らの環境に合わない記事・古い記事を読んでしまいかえって混乱する危うさすらある。

私は次の本で学んだ。

新版が出ているようである。

その他、次のような本が紹介されている。

基本的な内容

慣れたころに読んでいただくと有意義なもの

TeX の作法

作業環境の向上

パッケージの追加

LaTeX の動きかた

命令の作りかた

読みもの

TeX に詳しくなりたくなったときに有意義なもの

プログラミング的な機能

自分で命令を作るにあたっての参考

自分で作った命令の共有

読みもの

「TeX & LaTeX Advent Calendar」で検索しても面白い。

参考

改訂